Sweet tooth ride on M109R

甘党男が綴るバイクライフと日常

M109R インプレッション

≪名称≫
 
 
ブルバードM109Rというのが正式名称となっている。ブルバード(BOULEVARD)というのは「広い街道・大通り」という意味だそうで、スズキが北米市場で販売しているクルーザーのシリーズ名となっている。が、よく日産の車と混同される。その辺の説明が面倒なので、俺は基本的にモデル名の「M109R」で呼んでいる。
同シリーズの他車種としては、C50、C90、C109R、M50、M90、S40、と充実したラインナップとなっている上に、ものによってはリミテッドやツーリング仕様もあるというから驚きだ。

※ヨーロッパ市場ではイントルーダーM1800Rという名称で販売されている。規制に対応するためにパワーを抑えているらしい。

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≪外観≫

 

ロー&ロングのスタイルを踏襲した車体はかなり大きく、質量とか存在感が車体に凝縮されているような「塊(かたまり)感」が強い。スズキにおけるフラッグシップクルーザーの座に恥じない大迫力のボディと言える。

当然のことながら、同一ジャンルであれば車体はある程度似たような見た目になるし、モノによっては没個性的とか特徴が無いという評価を受けることもある。その中にあって「特徴だらけだろコレ」って言える外観だと思う。独特のカバー付きヘッドライト、タンクからリアフェンダーへの流麗なライン、エグイ取り回しのエキパイ、極太のリアタイヤ等々、本当に特徴ばっかり。

良く言えば個性的だが、身も蓋もなく言えば変態的。人によって好き嫌いがハッキリと割れそうなデザインをしているのではないだろうか。そういった部分も含めて「スズキらしい」と思う。

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≪ポジション≫

 

シートに跨ってみると車体のボリュームを実感した。横幅があるためかなり足を開く形となるのだ。両足とも踵まで地面に着くが、右側はマフラーガードに脹脛辺りが接触するのが少し気になった。とはいえ足つきに問題はなく、重心が低いので安定感は十分感じられる。

ハンドル・ステップの位置は両方ともやや遠い感じで、手足を前に出して「くの字」になっているような状態になる。ノーマルポジションはおそらく欧米人を想定していると思われるので、日本人には少々辛いかもしれない。だがある程度の身長(170cmくらいか?)があるなら問題なく運転できるだろうし、極端に小柄な体格でなければ社外アクセサリの使用やシート加工といった手段で何とかなると思う。
余談だが、ハンドル位置に関しては予想外の利点もあった。俺は腰のヘルニア持ちなのだが、以前乗っていたイントルーダークラシックに比べ腰への負担は減っている。M109Rは手を突き出す形でハンドルを握るためそこに若干だが体重を掛けられるのだ。それにより上半身の重量が分散され腰に集中しない。代わりに肩が痛くなることもあるが、腰痛に比べれば些末な問題だ。

 

≪取り回し≫

 

車体重量347kgと文句なしのヘヴィ級なのでとにかく重い。しかも重心が低いため、車体の横について押し引きをするのは相当な重労働となる。よって、基本的に跨った状態で取り回す方が安定していてやり易い。だが安定しても重たいものは重たいので、駐車するときは路面の傾斜に注意を払った方がいい。乗り始めて直ぐのころ、前傾斜のところに停めてしまいそこから抜け出すのにかなり苦労したことがある。

取り回しにおける諸々に関しては、M109Rに限った話ではなく大排気量クルーザーの大半に当てはまるのではないだろうか。どうしても足つきに不安があるのなら、ローダウンしてしまえばある程度は解決できるだろう。

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≪走り≫

 

平坦な場所なら半クラのみでスタート出来る位にトルクフルなのでスルスルと走りだせるし、走り出してしまえばあっけないほどに扱い易くハンドリングも素直だ。クルーザーなのでそこまでピーキーなこともなく、街乗りしても問題ない。車体の重たさと強力なエンブレのため、1速で曲がらなくてはならないような時は慎重になる必要があるが、これは他のクルーザーも似たようなものだと思う。

加速力は圧巻の一言。フル加速時などは、一部のレビューやインプレで「並みのネイキッドや油断したSSに勝る」とすら評価されているのも頷ける。Vツインエンジンを搭載したクルーザーとしては文句なくトップクラスだろう。

さらに特筆すべきは中間加速だ。高速道路での合流や追い越しのときそれを強く感じた。既にある程度のスピードで走行している状態からだというのに、なかなか強烈な加速を体感出来るのだ。しかもアクセルは全開ではなく半分~3分の2程度の開け具合での話だ。その上、このテのVツインとしては珍しく高めの回転リミットなのでかなりの伸びがあり、フルアクセル時はその辺が更に顕著になると思われる。

重量級の車体だけにブレーキはしっかりしている。特にフロントはダブルディスクで4ポッドキャリパーが装備されているのでかなり頼もしい。レバーを握った分だけリニアに効く感じでコントロールしやすいのはとても好感が持てる。リアはより「じんわり」と効くイメージで、必要にして十分な能力がある。エンブレはシャフトドライブということもあり強力な部類で、パワーと重量のあるクルーザーにマッチしていると思う。総じてブレーキは優秀な部類ではないだろうか。

サスペンションは全体的に硬めのセッティングだと感じた。フロントはしなやかさと硬さが上手く同居していて、段差等の衝撃を吸収しつつもヤワな印象は無い。リアは硬さの方が勝っていて、かなり跳ねる。個人的には硬めの方が好きなんだが、それでも少し硬すぎると感じる。しかし高速走行ではそれがプラスに働き、荷重をしっかりと受け止めてくれていると思う。

コーナリングに関しては、クルーザーであることを差し引いた上でも苦手であると言わざるを得ない。リアタイヤがワイドなのでかなり意識してやらないとバンクしないし、バンク角も無いので簡単にバンクセンサーを擦る。その上ホイールベースが長く重量もパワーも大きいとくれば曲がりやすい訳がない。その辺りを「捩じ伏せて」やれればカッコイイのだろうが、運転技術に自信のない俺としては割り切っている。

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≪総評≫

 

ジャンルとしては「パフォーマンスクルーザー」に属しており、代表例としてはハーレーのV-RODファミリーが挙げられる。

基本的にクルーザーらしくのんびりと走れるが、積極的にアクセルを開けてやればなかなかに凶悪な直線番長っぷりを発揮してくれる。走行性能を重視したコンセプトに則り、倒立フォークやラジアルマウントキャリパーといった「走り」に振ったものが装備されているのも特徴的。

クルーザーというジャンルにおいてはデザイン・性能共にかなりとんがっており乗り手を選ぶ面もあるが、独特の魅力を持ったバイクだと思う。 

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以前にWEBIKEの日記に書いたインプレだが、折角なので加筆・修正の上掲載させていただく。
あくまで「俺の感想」なので訳のわからないことを語っている部分もあるかもしれないが、そこは大目に見てもらえれば有難い。 また、M109Rに関する質問等があればお答えしたいと思う。
 

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